米国の脱退発表を受けた、パリ協定に関するEU外務理事会会合の結論
<日本語仮抄訳>
欧州連合(EU)理事会は、米国が一方的にパリ協定から脱退する決定を行ったことを非常に遺憾に思う。同時に理事会は、主要経済国から小さな島嶼国まで、多くの国々がパリ協定への強力な責任を表明したことを歓迎する。
理事会は、パリ協定がその目的に適っており、再交渉は不可能であることを再確認した。同協定は野心的でありながら規範的ではなく、各締約国が自ら選択した道筋で全世界の発展、平和および安定を脅かす気候変動と戦うための目標に貢献することを認めている。
理事会は、ルールに基づく多国間体制の中核としての国連へのEUの揺るぎない支持を再度表明する。EUとその加盟国は引き続き一丸となって、パリ協定の完全かつ迅速な実施に全身全霊を尽くし、全世界の温室効果ガスの約8割を排出している主要経済国の特別な責任を思い起こし、全てのパートナーに対し、2015年に生み出された勢いを、第23回と第24回気候変動枠組条約締約国会議(COP23、COP24)の成功に向けて維持するよう要請する。
世界は今後も、気候変動との戦いにおいて、地球の平均気温の上昇を産業革命以前に比べ2度よりはるかに低く抑えること、また気温上昇を1.5度以下に抑える努力を追求することに向け、EUが指導力を発揮することに期待できる。EUは、自身の野心的な気候政策や特に脆弱な者への支援の継続を通じて、今世紀後半に排出量実質ゼロと気候変動へのレジリアンスある社会の達成への道筋に立てるような強力かつ持続可能な経済の構築を通じて先頭に立つ。EUとその加盟国は、世界最大の気候関連資金提供者であり、複数の財源から途上国の気候行動のために2020年までに毎年総額1,000億ドルを確保するとの先進国の目標に対する自身の分を動員する決意である。
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