アイルランドへの追徴課税を無効とした欧州司法裁判所の判断の上訴に関するヴェスタエアー欧州委員会執行副委員長の声明
<日本語仮訳>
欧州委員会のマルグレーテ・ヴェスタエアー執行副委員長は、以下の声明を発表した。
「欧州委員会は、アイルランドが差別的な税優遇を通じてアップル社に対し違法な国家補助を提供したとの2016年8月の欧州委員会の決定を無効とした、欧州連合(EU)司法裁判所の一般裁判所の2020年7月の判断を上訴すると決定した。
一般裁判所の判断は、欧州委員会が国家補助のルールを税務計画に適用する際に、委員会自身に関わる重要な法的問題を提起した。委員会はまた、一般裁判所がこの判断についてはいくつかの法的誤りを犯したと謹んで指摘したい。このため、委員会はこの件について、EU司法裁判所の判断を仰ぎたい。
大小にかかわらず、全ての企業が公正に税を納めることは、欧州委員会にとって最優先事項の一つだ。一般裁判所は、EUの加盟国は自身の課税に関する法律を定める権利がある一方で、それが国家補助ルールを含むEU法を順守した上で行われるべきとの原則を幾度となく確認してきた。もし加盟国が特定の多国籍企業に、競合他社に与えていない税法上の優遇措置を提供すれば、これはEUの国家補助ルールに違反し、域内の公正な競争を損ねる。
欧州委員会は、企業が応分の税金を納めるよう、今後も有する全ての手段を活用する。そうでなければ、国庫と市民が切望し、欧州の経済回復を支援するために今ではより必要とされている、投資のための資金が奪われる。われわれは、抜け穴をふさぎ、透明性を確保するために適切な法律を策定する努力を続ける必要がある。これゆえ、正当である場合、デジタル分野を含め、全ての事業者が公正に税を納めることを確実にすることを含め、作業はまだまだ続く」
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