ロシアに対する第4弾制裁措置に関するフォン・デア・ライエン欧州委員会委員長の声明
<日本語仮抄訳>
ウルズラ・フォン・デア・ライエン欧州委員会委員長は、以下の声明を発表した。
「ロシアの容赦ないウクライナ侵攻は続いている。学校、アパート、病院などで、一般市民が執拗な攻撃を受けている。さらに、ウクライナ側の幾度にもわたる提案にかかわらず、ロシアはこれまでに外交的解決に向けた交渉に真剣に関与しようとする意思を全く見せていない。その代わりにわれわれが耳にするのは、新たな嘘や言いがかりだけである。そして、皮肉なことに、人道回廊は未だに開設されていないか、発表直後にロシア軍の爆撃を受けている。
このためにわれわれ欧州連合(EU)と主要7カ国(G7)の他のパートナーたちは、引き続き足並みを揃えてロシア政府に対する経済的圧力を強めていく。われわれがこれまでに採択した3回の相次ぐ制裁と、今週その範囲を拡大したことは、ロシア経済に非常に大きな打撃を与えている。ルーブルの価値は暴落した。ロシアの主要銀行の多くは、国際銀行制度から切り離された。企業は、自身のブランドがこの殺人的な政権と結びつけられることを拒み、同国から次々と去っている。われわれは明日、ロシアをさらに孤立させ、この野蛮な戦争のための資金源となる資源を枯渇させるために、第4弾となる制裁措置を発動する。
まず、われわれの市場におけるロシアの最恵国待遇を剥奪する。これにより、ロシアは世界貿易機関(WTO)の加盟国として供与される重要な利便を失うことになる。ロシア企業は今後、われわれの経済で優遇的対応を受けられなくなる。また、国際通貨基金(IMF)と世界銀行を含む、主要な多国間金融機関でのロシアの加盟国としての権利を停止するよう取り組む。同国がこれらの機関から確実に資金、融資もしくはその他の利益を受けられないようにする。なぜならば、ロシアは国際法に著しく違反しながら、国際経済秩序の一員としての恩恵を受けられることを期待することはできないからである。
第2に、われわれは引き続きヴラジミール・プーチンに近いロシアのエリートおよび彼らの家族や後援者に対する圧力を掛け続ける。このために、G7の財務・法務・内務担当大臣たちは来週、プーチンの代理勢力を標的としたタスクフォースの立ち上げを調整するために来週会合する。
第3に、われわれは、ロシア政府と同国のエリート層が、暗号資産を使って制裁を回避することができないようにしている。プーチンに近い者や彼のこの戦争の立案者がこれらの資産を用いて自身の富を増やし、移転させることを阻止する。
第4に、ロシアのエリート層への直接的な打撃として、われわれEU加盟国からロシアへのあらゆるEU の高級品の輸出を禁止する。プーチンの戦争を持続させている者が、ウクライナで罪のない人々の上に爆弾が降っている時に、自身の贅沢な暮らしを楽しむことがあってはならない。
第5に、非常に重要なことであるが、ロシアからの鉄鋼部門の主要製品の輸入を禁止する。この措置はロシアの体制の中核部門を直撃し、何十億ユーロもの輸出収入を奪い、EU市民がプーチンの戦争に資金を提供しないことを確実にする。
最後に、 ロシアのエネルギー産業に対する欧州からの新たな投資を禁止する。なぜならば、われわれが脱却しようとしているエネルギー依存を助長してはならないからである。今回の禁止は、エネルギー開発と生産のための全ての投資、技術移転、金融サービスなどを対象とし、プーチンに大きな打撃を与えるものである」
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