世界へのワクチン供給で主要な役割を果たし続けるEU、日本は引き続き最大の供給先に

13.10.2021

 

<日本語仮訳>

欧州連合(EU)の新型コロナウイルス感染症ワクチンの輸出に関する時限的な透明性・承認メカニズムは、2021年1月30日に欧州委員会により導入されて以来、ワクチンの製造、供給およびサプライチェーンの透明性を大幅に高めてきた。また、最大の輸出先である日本を含め、EUは域外へのワクチンの供給において世界のリーダーであることを示してきた。

データによれば、1月30日から10月12日までの間に、EU加盟国は2,700件以上の輸出申請を承認し、却下した申請は1件のみとなっている。同メカニズムに基づいて輸出承認を受けたワクチンの総数は、57の輸出先に対して8億3,200万回分に上る。日本は、引き続きEU製ワクチンの最大の輸出先であり、上記期間中に2億6,760万回分のワクチンの輸出が承認された。ワクチンの実際の出荷については、各製造会社の責任の下で実施されている。

輸出透明性・承認メカニズムに基づいて、EUに拠点を置く製薬会社は、新型コロナウイルス感染症のワクチンとその有効成分を輸出する場合、事前に承認を得ることが求められる。これは、EUからのワクチン輸出の透明性を高めるだけでなく、製薬会社の契約上の義務に従って、EU市民へのワクチンのタイムリーな供給を確保することも目的としている。

2021年12月31日まで適用される同メカニズムは現在、アストラゼネカ、ファイザー/ビオンテック、モデルナ・スイス/モデルナ、ヤンセンファーマ〈ジョンソン・エンド・ジョンソン〉、キュアバック、サノフィパスツール/グラクソ・スミスクライン・バイオロジカルズ、ノババックス ワクチンの輸出が対象となる。

EUが国際的な連帯と責任の原則を全面的に順守することに変わりはない。また、同メカニズムは、脆弱性を抱えた低・中所得国には適用されず、EUの契約に基づいてEU加盟国が購入したワクチンを人道的な緊急対応や第三国への無償提供・転売目的で輸出する場合についても、適用の対象外となっている。

10月13日現在、EU域内では約8億1,740万回分のワクチンが供給され、EUの成人人口の75.7%がワクチン接種を終えている。

こうした進展と並行して、EUは、7月1日にワクチン接種済み、陰性の検査結果または感染後の回復を証明する「デジタルCOVID証明書」を正式に開始した。同証明書により、EU市民や合法的居住者はEU加盟各国を横断する移動が容易になる。今後は、日本とEUがそれぞれのワクチン証明書の相互運用性と互換性を確保することが重要であり、それが双方の市民の自由な移動にとって鍵となるだろう。

 

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