欧州グリーンディール

12.01.2019

気候変動の影響が増大し、生物多様性喪失が驚異的な速度で進行し、自然資源が過剰消費されることにより、地球規模での環境が重大な危機にさらされている。

 

昨今、欧州連合(EU)と日本は共に、異常気象を経験してきた。科学によれば、現行の施策や目標が十分とは言えないことは明らかであり、方向転換の必要性はこれまでになく緊急なものとなっている。我々の任務は、持続的な経済成長を維持しつつ気候や環境関連の課題に取り組む決意を新たにし、持続可能な経済への移行を可能にするための資源を動員することである。

欧州委員会のフォン・デア・ライエン委員長が提案する「欧州グリーンディール」はまさしくこれらの課題への回答となるものである。これは新たな成長戦略であり、EUの経済を現代的で、資源効率のよい、競争力のあるものとし、公正で豊かな社会へと移行させることを目標としている。それにより2050年には、温室効果ガスの排出が実質ゼロとなり、経済成長は資源使用とは切り離され、自然資本が保護・拡充され、市民の健康と福祉が環境関連のリスクや影響から守られるのである。グリーンディールは社会のあらゆる分野での移行を必要とするものであり、巨額の先行投資により、欧州は包括的かつ持続可能な成長への新たな道のりを歩むことになる。しかし気候変動や生物多様性喪失が地球規模の課題であるがゆえに、グリーンディールの野心は国境線に縛られるものではない。そこでEUはあらゆる国に呼びかけ、この移行に向けて、日本のような、志を同じくするパートナーの国々との連携関係をさらに築き上げていく。EUと日本は、2021年5月の日・EU首脳協議で「グリーンアライアンス」の立ち上げに合意した。EUが域外国とこのような連携を組むのは初めてで、今後数十年間に双方の経済を、気候中立かつ循環型で資源効率の高いものへと移行する取り組みを加速させることを目的としている。両者は、環境保護、生物多様性の保全、気候変動対策に関する協力を強化することに合意した。

 

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