欧州委員会、新型コロナワクチン輸出の透明性・承認メカニズムを強化
<日本語仮抄訳>
欧州委員会は本日、新型コロナウイルス感染症ワクチンの透明性と承認メカニズムの下での輸出承認において考慮すべき新たな基準として、相互主義と比例に関する原則を追加すると発表した。同制度はワクチンの輸出の透明性を大幅に高めた。しかしながら、欧州連合(EU)市民への適時のワクチン提供を確保するとの目的は依然達成できていない。
透明性、相互主義、比例性の強化
新しい規則は、既存のメカニズムに2つの変更を行う。まず、計画されている輸出が、EUが製造業者と交わした事前購入契約(APA)の履行へ与える影響に加え、EU加盟国と欧州委員会は、以下をも考慮すべきである。
- 相互主義:輸出先国が、ワクチンもしくはワクチン原料の自国からの輸出を法律もしくは他の手段で制限しているか
- 比例性: 特に疫学的状態、ワクチン接種率およびワクチンの入手可能性において、輸出先国の状況は、EUと比べて良いか悪いか
EU加盟国と欧州委員会は、輸出申請が出ているワクチンが、EU域内でのワクチンとその構成物の供給の安全を脅かさないかどうかを評価すべきである。
第2に、ワクチン貿易の全体像を得るため、新たな規制は当初対象外とされていた17カ国[1]を対象にすることとした。
EUは今後も国際連帯を維持することを決意しており、そのために人道援助目的、もしくは国際的枠組み「COVAXファシリティ」の事前買取制度の対象である92の中低所得国向けのワクチンについては、引き続き同メカニズムの対象外とする。
輸出承認メカニズム
今般の実行規則は的を絞り、目的に照らして相応で、透明かつ一時的である。世界貿易機関(WTO)や20カ国・地域会議(G20)の下でのEUの国際的義務と完全に一致しており、またWTOの貿易と保健イニシアティブの文脈においてEUが提案した内容と一致している。加盟国は欧州委員会の見解に従って承認申請について判断を下す。
この制度の導入以降、33の輸入先への380件、約4,300万回分のワクチンに対する輸出申請が承認された。承認が認められなかったのは1件のみである。主要輸出先は英国(およそ1,090万回分)、カナダ(660万回分)、日本(540万回分)、メキシコ(440万回分)、サウジアラビア(150万回分)、シンガポール(150万回分)、チリ(150万回分)、香港(130万回分)、韓国(100万回分)およびオーストラリア(100万回分)である。
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[1] アルバニア、アルメニア、アゼルバイジャン、ベラルーシ、ボスニア・ヘルツェゴビナ、ジョージア、イスラエル、ヨルダン、アイスランド、レバノン、リビア、リヒテンシュタイン、モンテネグロ、ノルウェー、北マケドニア、セルビアおよびスイス