欧州委員会、3回目となる日本との教育・文化・スポーツ政策対話を開催

<日本語仮抄訳>
欧州連合(EU)の欧州委員会と日本政府の代表者は本日、第3回日・EU教育・文化・スポーツ政策対話を東京で開催した。 両者は、これらの分野における有効事例、教育学的手法および政策の開発・革新に向けた戦略を交換する軌道として、相互協力の重要性を認識している。
第3回目となる今回の対話は、イリアナ・イヴァノヴァ欧州委員会イノベーション・研究・文化・教育および青少年担当委員と盛山正仁文部科学大臣が共同議長を務めた。
両者は、日・EU間の学生および教職員の交流を促進することの利点について合意した。 EUの「エラスムス・プラス」のような国際的な留学制度は、人的交流、技能向上および卓越した学術を促進する上で極めて重要な役割を果たしている。 過去3年間でエラスムス・プラスは、約1,750人の高等教育機関の学生および教職員に対し欧州と日本の間の国際交流の機会を提供した。 しかし、さらに意欲的になる余地がある。 このような制度に投資することで、EUと日本は互いの教育エコシステムの潜在能力を最大限に活用し、グローバルな知識の創造に貢献することができる。 この目的のため、エラスムス・プラスの「国内フォーカルポイント」がこの度日本に設置され、留学制度の実施における日本との国際協力を強化するとともに、日本と欧州双方の学生および教職員にエラスムス・プラスの下で提供される機会をさらに周知することを目的とする。
教育分野において、本日の対話における意見交換はまた、デジタル教育がもたらす機会と課題にどのように対応するかについて、貴重な洞察を提供した。 参加者は、学習経験を個別化し、教育成果を向上させ、デジタル時代の需要に生徒が適応できるようにするため、学校における生成人工知能(AI)の責任ある統合を模索する方法について討議した。 今般の対話では、倫理的配慮、データのプライバシーに関する懸念および教育者と学習者のデジタルスキルおよびデジタルリテラシーの向上の必要性についても議論された。 これらの重要な議題について引き続き討議し、事例を共有するため、両者はデジタル教育に関するセミナーを数カ月以内に開催することに合意した。
第3回政策対話では、文化遺産の文書化、保存およびオンライン上の普及においてデジタル技術がもたらす可能性にも焦点が当てられた。 両者は、デジタルトランスフォーメーションが社会・経済・文化に変革的な転換をもたらし、文化遺産やその保存・振興に要する関連技術に大きな影響を与えるという点で合意した。
EUと日本は、個人と社会の双方に恩恵をもたらす、若い世代におけるスポーツと健康的な生活の促進や、スポーツに関する取り組みの有効性と包括性の向上に関する専門知識を共有した。
背景
教育・文化・スポーツにおける日・EU政策対話は2018年に新設され、それ以来、2度開催されている。最初の政策対話は2018年7月にハンガリー・ブダペストで開催され、第2回は新型コロナウイルス感染症のパンデミックのため、2021年5月にオンライン形式で行われた。
いずれの会合も、欧州と日本の大学間で高度に統合された修士課程を通じた学生交流の強化や、パンデミックが互いの教育・文化・スポーツ政策に及ぼす影響の評価など、いくつかのテーマについて意見や実践を共有する機会となった。
エラスムス・プラス国内フォーカルポイント(ENFP)は、アフリカ、アジア太平洋、中東、南北アメリカ各地域の国々の教育部門を代表する。 2022年以降、世界中で70以上ものエラスムス・プラス非参加国で、ENFPが指定されてきた。 これらの拠点の世界的なネットワークは、エラスムス・プラスの国際的側面が提供する機会に対する認知度、知名度およびアクセスを向上させるために、同プログラムの執行機関である欧州委員会を支援している。
イヴァノヴァ委員は、「本日の第3回政策対話は、既に緊密である日・EU間の関係をさらに強化するものであった。 教育、文化およびスポーツに関するそれぞれの取り組みやビジョンについて意見交換することにより、互いから学び、政策立案が豊かになり、双方の市民のために協力を強固なものにした。 今後ますますデジタル化が進む未来に向けて、EUと日本は、課題に直面する中で知見を共有し、人々の移動と交流を促し、永続的かつ効果的な教育、スポーツおよび文化の分野の取り組みを構築する努力を続けていく」と述べた。
また、盛山大臣は、「我が国にとって、EUは、自由、民主主義、人権、法の支配、市場経済といった基本的価値および原則に基づき、共に行動する戦略的パートナーであり、地域を越えて連係することが一層重要になっていること、今回の政策対話は対面にて議論できることとなり、日・EU間の相互理解を一層深めることができると確信している」と述べた。
原文はこちらをご覧ください(英語)。
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European Union, 2024