欧州理事会の結論
<日本語仮抄訳>
主な結論
欧州連合(EU)首脳は、12月12日、気候変動、EUの長期予算、対外関係等について、翌13日は、経済通貨同盟(EMU)および英国のEU脱退(ブレグジット)について協議した。
気候変動
EU首脳は、パリ協定に沿って、2050年までにEUを気候中立(climate neutral-温室効果ガスの実質排出ゼロ)にするという目標を支持した。首脳は、気候中立への移行が、経済成長、市場、雇用および技術開発の各方面で重要な機会をもたらすことを強調した。ポーランドは、現段階ではこの目標の実施を約束することはできず、そのため、欧州理事会はこの問題を2020年6月に再度協議する。
欧州理事会は、「欧州グリーンディール(European Green Deal)」についての欧州委員会のコミュニケーション(政策文書)に留意し、EU理事会に作業を進めるよう要請した。
EU首脳は、気候中立への移行が、費用効率が良いものとなると同時に、各国の事情を考慮した、社会的均衡が取れた公平なものとなるよう、その実現を可能にする枠組み(enabling framework)を設ける必要性があることを認めた。
欧州理事会は、次の多年次財政枠組み(multiannual financial framework=MFF) が、気候行動に大きく貢献することを強調した。「公正な移行メカニズム(Just Transition Mechanism)」を通じて、移行によって最も影響を受ける地域や部門への支援が提供される。
貿易
欧州理事会は、包括的でルールに基づいた国際秩序を全面的に支持することをあらためて主張し、世界貿易機関(WTO)の紛争処理制度の機能停止について、懸念をもって留意した。
EU 首脳は、恒久的な解決策を積極的に追及しつつも、第三国との暫定的な取り決めを設ける、という欧州委員会の取り組みを支持した。その関連において、欧州理事会は欧州議会およびEU理事会に対し、国際貿易協定の下でのEUの権限に関するEU法令を改正するという欧州委員会の提案を検討するよう求めた。
英国のEU脱退
EU27カ国の首脳は、ブレグジットおよび脱退後におけるEUと英国の将来関係に関する交渉の準備について協議した。首脳は、英国と可能な限り緊密な関係を築くという目標を再確認し、ミシェル・バルニエEU首席交渉官の再任に関する欧州委員会の決定を歓迎した。
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