欧州理事会会合(10月21~22日)の主な結論
<日本語仮抄訳>
2021年10月21日~22日に開催された欧州理事会(EU首脳会議)会合の主な結論は以下のとおり。
I. 新型コロナウイルス感染症
欧州理事会は、新型コロナウイルス感染症のパンデミックへの国際的な対応に貢献し、すべての人にワクチンが行き届くようにするという欧州連合(EU)の継続的なコミットメントをあらためて表明する。また、ワクチンの世界的な展開を妨げている障害を速やかに取り除くことを求め、欧州委員会に対し、この点に関して製造者にさらに直接的な関与を強めるよう要請する。これにより、EU加盟国は最も必要としている国により迅速にワクチンを供給することができる。EUは、パートナー国におけるワクチンの生産と導入を引き続き支援する。
来たる20カ国・地域(G20)会合に関連して、また11月に世界保健総会の特別会合が開催されることを踏まえて、欧州理事会は、将来の世界の保健医療ガバナンスにおける世界保健機関(WHO)の強力で中心的な役割およびパンデミックに関する国際条約の合意という目的に対する支持を強調する。
III. エネルギー価格
欧州理事会は、最近のエネルギー価格の急騰について討議し、この価格上昇が新型コロナウイルス感染症のパンデミックから立ち直ろうとしている、特に弱い立場に置かれている人々や中小企業など、市民や企業に与える影響を検討した。
欧州理事会は、以下を求める。
- 欧州委員会は、欧州証券市場監督機構(ESMA)の力を借り、ガス・電力市場のほか、EU排出量取引制度(EU ETS)市場の機能を調査する。その後、欧州委員会は、特定の取引行為に対してさらなる規制が必要であるか評価する
- EU加盟国と欧州委員会は、各国の状況の多様性や特異性を考慮しつつ、エネルギー価格上昇に関する欧州委員会のコミュニケーション(政策文書)で提示した各手段を直ちに最大限活用し、最も脆弱な立場に置かれている消費者に短期的救済を提供し、欧州企業を支援する
- 欧州委員会とEU理事会は、各加盟国の多様性や具体的状況を考慮しつつ、家庭や企業にとって手ごろなエネルギー価格に貢献し、EUのエネルギーシステムと域内エネルギー市場の強靭性を高め、供給の安定性をもたらし、気候中立への移行を支えることに寄与するような中長期的措置を速やかに検討する
欧州投資銀行は、将来の混乱リスクを軽減し、欧州の国際的連結性に関する野心を達成することに向け、自身の資本余力の範囲内でエネルギー転換への投資をどのように加速化できるか検討する
VI. 対外関係
欧州理事会は、2021年11月25日~26日に開催される次回のアジア欧州会合(ASEM)首脳会合に向けた準備について議論した。これに関連して、欧州理事会は、「インド太平洋地域における協力のためのEU戦略」を支持し、EU理事会に対し、その迅速な実施を担保するよう求める。
英国グラスゴーで開催される気候変動枠組条約第26回締約国会議(COP26)を前に、欧州理事会は、気候変動に対する野心的な国際的対応を求める。地球温暖化の1.5℃以内の抑制を実現可能にすることが不可欠である。そのため、欧州理事会は、すべての締約国に対し、野心的な国家目標や政策を提案し、実行するよう呼び掛ける。特に、まだ実行していない主要経済国に対しては、強化された野心的な国別目標(NDC)をCOP26に間に合うように発表または更新し、2050年までの排出量実質ゼロの実現に向けた長期戦略を発表するよう求める。欧州理事会は、気候変動対策への資金供給の規模を継続的に拡大するというEUおよびEU加盟国の公約を想起する。他の先進国に対しては、2025年まで年間1,000億ドルを気候変動対策資金に拠出するという共同目標への貢献を早急に増やすことを求める。
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