EUの炭素国境調整メカニズム、暫定適用開始

EU NEWS 162/2023

<日本語仮抄訳>

10月1日より、欧州連合(EU)の炭素国境調整メカニズム(CBAM)の移行期間における適用が始まる。同メカニズムは、炭素リーケージと闘うためのEUの画期的な手段であり、EUの野心的な「Fit for 55」政策の中心的柱のひとつである。CBAMを通じて、域内製品と輸入品の炭素価格が均等化される。これにより、EUほど野心的でないグリーン基準を有する国への生産移転や、より炭素集約度の高い輸入品による域内製品の代替によって、EUの気候政策の効果が薄れないようにする。同メカニズムは、世界の産業界がより環境に優しく、持続可能な技術を取り入れることを奨励する、世界貿易機関(WTO)のルールに適合している措置である。

 

移行段階では、CBAMはセメント、鉄鋼、アルミニウム、肥料、電力および水素の輸入にのみ適用される。これらの製品をEUに輸入する業者は、輸入量とその製造過程で排出された温室効果ガス(GHG)排出量を報告しなければならないが、現段階では金銭的な調整はない。輸入業者は2023年第4四半期のデータ収集を求められるが、最初の報告書は2024年1月31日までに提出すればよい。さらに、適用初年度のCBAMには、含有排出量の報告にデフォルト値の使用や、製造国の監視・報告・検証ルールの使用の可能性など、多くの柔軟性が組み込まれている。

 

原文はこちらをご覧ください(英語)。

 

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