G7首脳声明
<日本外務省仮訳>
1. 我々G7首脳は、ウクライナの独立及び主権に対する、ロシアの不当な、いわれのない、不法な侵略及びプーチン大統領の選択により始められた戦争を受け、我々の協力を更に強化するため、G7議長国であるドイツの招請により本日ブリュッセルで会合を開催した。我々はウクライナ政府及び国民と共にある。
2. 我々は、平和と安定を回復し、国際法を堅持するとの決意において結束している。我々は、ロシアの軍事侵略及びそれが引き起こし続ける苦痛と人命の喪失を非難することにおいて、2022年3月2日の国連総会決議に従い、国際社会の圧倒的多数と共にあり続ける。
3. 我々は、ウクライナの住民並びに病院及び学校を含む民生インフラへの破壊的攻撃に引き続き驚愕し、これを非難する。我々は、国際刑事裁判所の検察官による捜査を含む国際的なメカニズムによる捜査を歓迎する。我々は、戦争犯罪の証拠の収集を支援するため共に取り組む。ロシア軍によるマリウポリ及びその他のウクライナの都市の包囲並びに人道アクセスの否定は受け入れられない。ロシア軍は直ちに、マリウポリ及びその他の包囲された都市に対し、ウクライナの他の地域への安全な経路を提供し、人道支援が引き渡されるように確保しなければならない。
4. ロシアの指導者は、2022年2月24日にウクライナ領域内で開始した軍事作戦をこれ以上の遅滞なく停止するとの国際司法裁判所の命令に直ちに従う義務がある。我々はまた、ロシアに対し、ウクライナ全土から自国の軍及び装備を撤退させるよう要求する。
5. 我々は更に、ベラルーシ当局に対し、更なるエスカレーションを回避し、そのベラルーシ軍をウクライナに対して使用しないよう求める。加えて、我々は全ての国に対し、ロシアによるウクライナにおける侵略継続の助けとなるような軍事又はその他の支援をロシアに対して行わないよう求める。我々はそのようないかなる支援についても警戒していく。
6. 我々は、プーチン大統領と、ベラルーシのルカシェンコ政権を含むこの侵略の立案者及び支持者に対し、彼らの行動の責任を追及する努力を惜しまない。この目的のために、我々は、世界中の同盟国及びパートナーと共に引き続き取り組んでいく。
7. 我々は、我々が既に課している経済・金融措置の完全な実施等により、ロシアに厳しい結果をもたらすという我々の決意を強調する。我々は、G7メンバーによって既に課されているものと類似の制限的措置を採用することや、我々の制裁の効果を低下させ、あるいは軽減するための回避、迂回及び穴埋めを行わないことについて、他国政府と関与することを含め、引き続き緊密に協力していく。我々は、関係閣僚に対し、焦点を絞ったイニシアティブにおいて、制裁の完全な実施を監視すること及びロシア中央銀行による金の取引に関するものを含む回避措置への対応を調整することを指示する。我々は、必要に応じて追加的な措置を執る用意があり、そうする際には引き続き結束して行動する。我々は、これらの取組において我々と協調してきたパートナーを称賛する。
8. ロシアの攻撃は、既にウクライナにある原子力施設の安全及び核セキュリティをリスクに晒している。ロシアの軍事活動は、市民及び環境に対する極度のリスクを作り出しており、壊滅的な結果をもたらす可能性がある。ロシアは、国際的義務を遵守し、原子力施設を危険に晒すいかなる行動も控えウクライナ当局による妨げのない管理並びに国際原子力機関の完全なアクセス及び協力を認めなければならない。
9. 我々は、化学兵器、生物兵器及び核兵器並びに関連物資の使用に関するいかなる威嚇に対しても警告を発する。我々は、ロシアが締約国となっており、我々全員を保護する国際条約の下での、ロシアの義務を想起する。この点で、我々は、国際的な不拡散に関する協定を完全に遵守している国家であるウクライナに対するロシアの悪意ある、全く根拠のない偽情報キャンペーンを断固として糾弾する。我々は、ロシアの偽情報キャンペーンを増幅させた他の国や主体について懸念を表明する。
10. 我々は、ロシアの不当かつ不法な侵略に対し敢然と抵抗するウクライナの人々を支援することを決意している。我々は、ウクライナ及び周辺諸国への支援を強化する。我々は、既にウクライナに人道支援を提供している全ての者に感謝するとともに、他の者にも参加を呼びかける。我々はまた、ウクライナ及び周辺諸国における民主主義の強靱性を高め、人権を擁護するための努力において協力する。
11. 我々は、ウクライナがサイバー事案から自国のネットワークを守ることを支援する取組を継続する。我々が取った行動に対してのロシアによるあらゆる悪意あるサイバー活動に備え、我々は、調整されたサイバー防御を強化し、サイバーの脅威に対する我々の共通認識を向上させることにより、我々各国のインフラの強靱性を高める措置を講じている。我々はまた、サイバー空間において破壊的、混乱を招く、あるいは不安定化させる活動を行う者の責任を追及するために取り組む。
12. 我々はさらに、周辺諸国がウクライナ人避難民及び第三国の国民をウクライナから受け入れることにより示した連帯と人道的精神を称賛する。我々は、ウクライナの周辺諸国に対する国際的支援を更に強化する必要性を強調するとともに、この目的のための具体的な貢献として、紛争の結果として生じた避難民の受入れ、保護及び支援に対する我々のコミットメントを強調する。我々は、我々の領域に彼らを受け入れる用意がある。我々は、ウクライナ及び周辺諸国への支援を拡大するための更なる措置を講じる。
13. 我々は、ロシア国民への抑圧の激化及びロシアの指導者による一般市民に対するものも含むますます敵対的なレトリックを懸念している。我々は、検閲によってロシア国民の偏りのない情報へのアクセスを奪おうとするロシア指導者の試みを非難し、その悪質な偽情報キャンペーンを糾弾し、それを看過しない。我々は、近隣国であるウクライナに対する不当な侵略戦争に反対して立ち上がっているロシア及びベラルーシの市民への支持を表明する。世界は彼らを見ている。
14. ロシア国民は、我々が彼らに対して何の不満も抱いていないことを知るべきである。ロシア人に戦争とその結果を強制しているのは、プーチン大統領並びに彼の政府及びベラルーシのルカシェンコ政権を含む支持者であり、彼らの決定こそがロシア国民の歴史を汚しているのである。
15. 我々は、ロシアのエネルギーへの依存を低減させるために更なる措置を講じており、この目的のために共に取り組んでいく。同時に、我々は、安定した、代替となる、持続可能な供給源を確保していくとともに、供給途絶の可能性がある場合に連帯して緊密に連携して行動していく。我々は、ロシアのガス、石油及び石炭の輸入への依存を段階的に低減する意思を有する国々を積極的に支援することにコミットする。我々は、OPECが重要な役割を果たすことに留意しつつ、石油及びガスの産出国に対し、責任ある態度で行動し、国際市場への供給を増加させるよう要請する。我々は世界のエネルギーの安定的かつ持続可能な供給を確保すべく、彼ら及びすべてのパートナーと協力していく。今般の危機は、化石燃料への依存の段階的低減及びクリーンエネルギーへの移行を加速することによって、パリ協定及びグラスゴー気候合意の目標を達成し、世界的な気温上昇を1.5度に抑えるという我々の決意をより強固なものにする。
16. 我々は、ヨーロッパにおいて戦争を仕掛けるというプーチン大統領の一方的な選択によって高まる代償を負わなければならない我々のパートナーと連帯している。プーチン大統領の決定は、世界経済の回復を危険にさらし、グローバルバリューチェーンの強靭性を損ない、最も脆弱な国々に深刻な影響を与えるだろう。我々は、国際社会に対し、ロシアの責任を完全に認識し、国際機関や地域機関の支援を得て、最も脆弱な国々を保護することによって行動を起こすことを要請する。
17 .直近では、プーチン大統領による戦争は、世界の食料安全保障をより大きな圧力に晒している。我々は、我々のロシアに対する制裁の実施は、世界の農産物貿易への影響を避ける必要性を考慮に入れていることを想起する。我々は、情勢を注視し、生じつつある世界的食料危機の予防及び対応のために必要なことを行うことを引き続き決意している。我々は、食料安全保障に取り組み、気候と環境上の目標と整合的な形で農業分野における強靭性を構築するために、あらゆる手段や資金調達メカニズムを整合的な形で活用する。我々は、特に脆弱な国々における潜在的な農業生産及び貿易の途絶に対処する。我々は、ウクライナにおいて持続可能な食料供給を行うことを約束し、ウクライナによる生産努力の継続を支援する。
18. 我々は、深刻な食料不安を抱える国々への支援を提供するために国連世界食糧計画(WFP)を含む関連国際機関や国際金融機関と協力し、これら機関への我々の集団的な貢献を強化する。我々は、ロシアのウクライナに対する侵略に起因する世界の食料安全保障と農業への影響に対処するため、国連食糧農業機関(FAO)の臨時理事会の開催を要請する。我々は、農業市場情報システム(AMIS)の全ての参加者に対し、引き続き情報を共有するとともに、特に国連世界食糧計画への備蓄の提供を含め、価格を抑制するための選択肢を模索するよう要請する。我々は、WTO 通報義務を含め WTO ルールに整合的な形で、輸出禁止やその他の貿易制限措置を回避し、透明で開かれた市場を維持するとともに、他の国々にも同様の措置をとるよう要請する。
19. 国際機関や多国間フォーラムは、もはやこれまでどおりにロシアとの間で活動を行うべきではない。 我々は、共通の利益や各機関の規則に基づいて、パートナーと緊密に協力して適切な形で行動する。