G7 財務大臣・中央銀行総裁声明
<日本外務省仮訳>
我々、G7 の財務大臣・中央銀行総裁は、国際通貨基金、世界銀行グループ、経済協力開発機構及び金融安定理事会の長の参加を得て、ワシントン D.C.にて会合した。我々は、ウクライナのセルゲイ・マルチェンコ財務大臣の参加を得たことを光栄に思う。
- 我々は、最近の世界経済及び金融セクターの動向について議論し、マクロ経済と金融の安定を維持するという我々の決意を再確認する。世界経済の成長は、予想されていたよりも強靱である。インフレ率は引き続き高く、そして中央銀行は、物価の安定を達成することに引き続き強くコミットしている。同時に、最近の金融セクターの動向は、世界経済の見通しの不確実性と、引き続き警戒する必要性を強調する。我々は、関係当局の迅速な対応と 2008 年の世界金融危機後に実施された金融規制改革に支えられ、金融システムが強靱であることを再確認する。我々は、引き続き金融セクターの動向を注意深く監視し、グローバルな金融システムの安定と強靭性を維持するために適切な行動をとる用意がある。
- ロシアのウクライナに対する侵略戦争は、引き続き計り知れない人的被害をもたらし、また、インフレ圧力を助長し、サプライチェーンを混乱させ、食料及びエネルギー不安を高めるなど、世界経済の課題を悪化させている。我々は、ウクライナに対する我々の揺るぎない支援と、ロシアの侵略戦争を非難することへの結束を再確認する。
- 我々は、国際通貨基金(IMF)理事会による、ウクライナに対する 156 億米ドルのプログラムの承認を歓迎する。G7 メンバーと国際的なパートナーによってコミットされた多額の財政・経済支援は、IMF プログラムと共に、ウクライナの最も緊急の資金ニーズに対処し、ウクライナのための構造改革のアジェンダを支えることが見込まれる。我々は、マクロ経済と金融の安定を促進し、長期的な経済の持続可能性に貢献し、他の国や機関、民間セクターによる更なる資金支援の促進に資する、IMF プログラムによって支援されるこれらの改革の迅速な実施に期待する。
- 我々は、ロシアによる不法かつ不当で、いわれのない戦争に対応して、ロシアに対する制裁及びその他の経済的措置を課すという強いコミットメントを再確認する。我々は、我々の制裁及びその他の経済的措置の回避や迂回を防止し、対応するため、共同で及び各国ごとに、様々なフォーラムにおいて精力的に取り組んでいる。また、我々は引き続き、我々の制裁の効果を監視し、必要に応じて更なる行動をとり、それらの執行を強化していく。
- 新型コロナウイルスのパンデミックやロシアのウクライナに対する侵略戦争による影響の中で、経済の強靭性に一層注目が集まった。グローバル・サプライチェーンを含む、国境を越えた経済活動の流れは、経済効率性と強靭性の両方を達成するという視点で、一層検討されるようになっている。この試みにおいて、我々は、自由で公正かつルールに基づく多国間システムと国際協力を堅持することにより経済効率性を維持しつつ、我々の共通の価値観を断固として守る。経済の強靭性を高めるための我々の取組は、大幅な排出削減を達成し、遅くとも 2050 年までに温室効果ガスの排出をネット・ゼロとするために進展すること、及びデジタル化の恩恵を活用することにより、我々の経済及び世界における社会的・経済的変革の加速にも資する。
- サプライチェーンの強靭性を高めることは、我々がマクロ経済の安定を維持し、グローバルに経済をより持続可能なものにすることに資する。例えば、クリーンエネルギーにとって重要な製品について、高度に集中するサプライチェーンを多様化することは、世界経済における価値創造のための新たな機会を創出しつつ、エネルギー安全保障を守ることに貢献し、地球温暖化を摂氏 1.5 度以内に抑えるというグローバルな取組を支えうる。したがって、我々は、「脱炭素時代における強靭なサプライチェーン構築に向けた財政・公的金融手段に係るハイレベル政策ガイダンス」(付属文書)に基づき、それぞれの財政・公的金融手段の効果的な活用を通じて、G7 メンバー及びパートナー国間の協働の強化にコミットする。このガイダンスにおいて不可欠な部分は、低・中所得国がサプライチェーンにおいてより大きな役割を果たし、付加価値を高められるよう、支援することである。このガイダンスを具体的な行動に移すため、我々は、多国間開発金融機関や関連する国際機関と連携して、低・中所得国との互恵的なパートナーシップの構築を探求する。
- 我々は、ロシアの侵略戦争と、より広範な世界的な課題によって偏って影響を受けている低・中所得国を支援するための我々の取組を強化することに、全面的にコミットしている。この考えの下、我々は、MDBs 改革に関する取組を前進させ、自発的な SDRチャネリングを促進し、PRGT 及び RST のための資金を確保し、債務脆弱性に対処し、グローバル・ヘルス・アーキテクチャーを強化し、気候変動に取り組むために、G20 メンバーや国際的なパートナー、国際機関と緊密に連携する。
- 我々は、5 月に新潟にて、これらの課題に関する我々の議論を更に深めることを期待する。