ジャーナリストへの犯罪不処罰をなくす国際デーに寄せるEU声明

01.11.2020

EU News 301/2020

<日本語仮訳>

11月2日の「ジャーナリストへの犯罪不処罰をなくす国際デー」に際して、ジョセップ・ボレル欧州連合(EU)外務・安全保障政策上級代表兼欧州委員会副委員長とヴェラ・ヨウロヴァ欧州委員会副委員長は、以下の共同声明を発表した。

「ジャーナリストは、民主主義が機能し、権力者の説明責任を確保し、タイムリーに事実に基づいた情報を提供する上で、基本的な役割を果たしている。

ジャーナリストは、隠された問題に光を当て、われわれが世界の複雑さを理解することを助ける。彼らが提供する情報は、健康に関するものであれ、選挙に関するものであれ、われわれの選択にとって重要であり、われわれの見解に影響を与える。その影響力は――それには責任が伴うが――どれだけ強調してもし過ぎることはない。

世界中で、ジャーナリストは脅迫、暴力、嫌がらせに直面し、しばしば命を危険にさらしている。気掛かりなことに、ジャーナリストや報道関係者に対する嫌がらせや犯罪に対する不処罰は世界各地で今も続いており、2019年の国連教育科学文化機関(ユネスコ)の報告書によれば、事件の90%が不処罰となっている国もある。

欧州では、つい数日前、調査報道ジャーナリストのダフネ・カルアナ・ガリツィア氏の殺害から3年を迎えた。彼女の暗殺や他のジャーナリストに対する犯罪に関与した人物を明らかにする必要が、今もある。

欧州域内で、われわれは、ジャーナリストの労働環境の改善や保護、安全の向上に取り組んでいる。『報道の自由への迅速な対応(Media Freedom Rapid Response)』などのプロジェクトに対するEUの資金提供により、脅威にさらされているジャーナリストは、法的かつ実用的な支援を受けることができる。また、EUが資金提供している『報道の自由のマッピング・プラットフォーム(Mapping Media Freedom Platform)』は、EUおよびEU加盟候補国における報道の自由への脅威の監視に寄与している。さらに、間もなく発表される『欧州民主主義行動計画』では、ジャーナリストの安全を向上させ、ジャーナリストに対する濫用的な訴訟に対処するための対策をまとめている。

他国との関係において、われわれは常に、自由な報道と市民社会が果たす重要な役割と、その多くがジャーナリストである人権擁護活動家を保護する必要性を明確に表明してきた。世界各国のEU代表部は、ジャーナリストに関わる裁判に立ち合い注意深く監視し、特別な注意を必要とする裁判を特定することに役立ってきた。過去1年間に、EUは425人以上のジャーナリストに対して緊急援助金や一時的転居などの形での支援や、ジャーナリストが所属する各報道機関に対する支援を提供してきた。

われわれは、全ての国に対して、ジャーナリストに対する犯罪に責任がある者を法の下で裁くように呼びかける。こうした犯罪を不処罰とすることは、世界中で恐怖と不信を煽り、自由で独立した報道の障害となるだけである。

EUは、今後も表現の自由を擁護し、この基本的な自由を利用してわれわれに日々情報を提供し続けている人々を保護してゆく。表現の自由について、われわれは妥協することはできないし、また妥協するつもりもない」

 

 

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