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G20大阪サミット開幕前の記者会見でのユンカー欧州委員会委員長の発言

28.06.2019
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EU News 113/2019

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<日本語仮抄訳>

「今年の主要20カ国・地域(G20)サミットの場所としてここ大阪、商業都市として栄え天下の台所と知られる大阪ほど適した場所はありません。

世界経済の未来を議論する場にこれから2日にわたって臨もうとしている私たちは、この街の革新的で開かれた豊かな歴史から刺激を受けるべきです。

私たちが会合を開く今、世界経済は、先行きに不透明感が出てきたにもかかわらず成長が続いています。

こうした不透明感がある中で、欧州経済は安定し持続可能な形で成長を続けています。7年連続で経済成長し、そして全ての加盟国がこの平均2%の成長に寄与しています。

投資はついに危機前の水準に戻りました。失業率は今世紀に入って以来の記録的に低い水準にあり、就業者数も過去最高の2億4,070万人に達しています。そのうち1,340万の雇用が2014年11月以降に創出されました。

こうした成功の大部分は、欧州が公正なビジネスに対して開かれていることに基づいています。EUは世界の80カ国にとって第1位の貿易相手国です。また私たちは72の貿易協定を締結しており、現欧州委員会の任期中だけでも新しく15の貿易協定を結びました。それはカナダや日本、ウクライナ、エクアドルなどの国々とです。

さらに良い知らせがあります。来る日曜日には新たに欧州連合(EU)・ベトナム貿易投資協定が署名される予定です。

これにより私たちの貿易関係は、次のレベルに引き上げられるのみならず、人権、環境、労働者の権利の尊重を強化することにも寄与します。そしてそれこそが欧州の通商政策にほかなりません。

私たちは貿易を信じています。なぜならそれは有益であるからです。36万の雇用がEU内で輸出によって支えられています。そして約70万の中小企業が国際貿易の恩恵を受けています。

しかし私たちは単純な自由貿易主義者ではありません。過去5年間で42の新たなダンピング防止および補助金抑制措置を採択しました。また投資選別のメカニズムを導入しました。また欧州委員会が提案している投資と調達に関する措置も早期に可決されることを期待しています。

こうした取り組みは、私たちは他者がルールに従わない場合でも自力で前に進むことを示しています。しかし、欠陥や抜け穴が世界の貿易制度にあることもまた明らかです。そのため貿易を巡る緊張関係が世界中で生じています。私たちは正面からこうした問題に取り組まなければなりません。

この精神に基づき、『鉄鋼の過剰生産能力に関するグローバル・フォーラム』は期間を延長するべきであると考えます。それによりこれまでのコミットメントを実行に移すことができます。

私たちは、米国や日本そして中国や他の国と緊密に連携をし、世界貿易機関の改革、そして公正な競争環境の創出に取り組んでいます。私たちは不公正な産業補助金や強制的な技術移転といった問題に対処しなければいけません。それは、G20が中心となって前に進めることによって初めて可能になります。

これは貿易のルールを現代のデジタル経済に合ったものにすることでもあります。だからこそEUは、安倍総理の『信頼性に基づく自由なデータ流通(DFFT)』構想を全面的に支持し、国境を越えたデータの流通と高い水準のプライバシー保護を促進します。こうした協力に基づくアプローチは、欧州のG20に対する立場、そしてルールに基づく多国間主義の制度全体に対する立場を表しています。

そして何より重要なのが気候変動です。欧州は、引き続き主導的な役割を果たします。2015年のパリの時と同様にです。私たちは意欲的な2030年の再生可能エネルギーとエネルギー効率に関する目標を掲げていますが、その実施に向けて注力する必要があります。またそのために持続可能な融資を金融制度の中心に据え、資本市場同盟を推進していきます。また次回のEUの長期予算の25%を気候対策に投資します。

しかし気候変動は2030年では止まりません。したがって加盟国の大多数の国は気候中立を目指す欧州委員会の2050年戦略を支持しています。それは今後の進むべき道だと考えます。またそれは地球にとってもビジネスにとっても有益なことです。

こうした全ての問題において、欧州はその域内では先頭に立ち、そして世界が必要としている安定と信頼をもたらすためにG20のパートナーの国々と協力する用意があります。

私たちは同じ課題の多くを共有し、また同じ変化や転換の多くを経験しています。気候やデジタル化、技術の変化であれ、これから数日にわたって議論する課題は国境を越え、社会や経済にまたがる問題です。それらにはルールに基づく多国間制度の下での協調的で包括的な対応が必要です。

私たちから世界に向けたメッセージは明確かつ単純です。欧州が取り組んでいるのは、ルールに基づく国際制度を擁護しそして必要であれば刷新をしていくのだということです。そしてわれわれにはそれを実現するために全ての人と協力をしていく用意があります」

 

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