アジア・欧州関係:第14回ASEM外相会合後の記者会見でのボレルEU上級代表の発言

17.12.2019

EU News 231/2019

<日本語仮抄訳>

 

欧州連合(EU)を代表して、スペインの国家遺産となっているこの美しい王宮で会合を開催したスペイン政府に感謝の意を述べたい。また、フェリペ6世国王陛下に対しても、この美しい会場の使用を許可してくださったこと、そして、実り多き会合となったこの重要な外相会合を開催する上で素晴らしい働きをしてくださったことに感謝を伝えたい。本会合が、将来的な協力への道を開いたものと期待している。

 

EUは、アジアとのパートナーシップを重視している。われわれは近年、アジアのパートナーと緊密に連携しつつ、政治関係を強化し、安全保障面での関与を深化させるなど、協力を拡大してきた。本日、アジアのパートナーがこれほど多くマドリードに集まったという事実は、彼らにとってもパートナーシップが重要であるということを示している。国際情勢に数多くの変化が見られるこの時期に、私たちははお互いを必要としており、これまで以上に緊密に協力していかなければならない。

 

本会合は、私のEU外務・安全保障政策上級代表としての初の国際会議となった。そして、それが欧州とアジアのパートナーが対話を行い、共通の課題に取り組むための類例のない場となっているアジア欧州会議(ASEM)であることをうれしく思う。アジアと欧州は合わせて世界貿易の55%、世界人口の60%、そして世界の65%のGDPを構成することに思いを馳せてほしい。世界の収入の3分の2がアジアおよび欧州の諸国で生み出されているのだ。これは、まさに注目に値する数字であり、私たちが力を合わせることで世界レベルで変化をもたらすことができると確信している。

 

本会合のテーマ「アジアと欧州:効果的な多国間主義(Multilateralism)に基づく国際秩序の維持」はこのことをよく表している。他の外相らとともに、いわゆる議長声明の草案をまとめていたところだが、このことについては――さまざまな段階で各々が異なる表現を望んでいたのは事実であるにしても――全員が一致している。この声明は、私たちが行ってきた仕事を均衡の取れた形で表していると思う。私たちは、多くの問題について、とりわけ気候変動について話し合ってきた。スペインは、最近の国連気候変動枠組条約締約国会議のホスト国でもあり、その意味でも本日は重要な日である。私たちは――昼食会の間にも話題になったが――持続可能性を考える上で3つの側面、すなわち、環境的、社会的、ならびに政治的側面を考慮しなければならないことを強く意識している。

 

私たちの仕事においては、連結性(コネクティビティ)が重要な役割を果たしてきた。欧州とアジアの連結性は脅威であると同時に機会を提供するものでもある。国や国民、社会に変革をもたらすものである。また、そこには非常に具体的な側面もある。それはすなわち、輸送やネットワーク、デジタル面での連結性であるが、それのみならず人間にも関わるものでもある。つまり、人と人の交流である。場所や交流、知識の共有、研究プログラム、観光等、人と人を繋ぐあらゆる事柄に関わる。それが私たちが最終的に目指して努力しているところである。本会合のレゾンデートル(存在意義)である。次の会合は1年後、カンボジアで開催される。

 

『EU MAG』の関連記事

連結がさらに強まるアジア欧州会合(ASEM)とEUの対アジア新戦略2018年11・12月号ニュースの背景 

EUについてさらに知りたい場合は日本語のオンラインマガジン『EU MAG』をご覧下さい。

 

も参照してください