欧州委員会、強制労働を伴う製品をEU市場から禁止することを提案

14.09.2022
ブリュッセル

EU News 179/2022

<日本語仮抄訳>

欧州委員会は本日、強制労働によって製造された製品の欧州連合(EU)市場での流通を禁止することを提案した。今般の提案は、特定の企業や業界を標的にせず、全ての製品、すなわち、域内消費および輸出用にEU内で製造される製品および輸入品を対象とする。多くの産業や全ての大陸において、およそ2,760万人が強制労働に就いていると推定されているため、このように包括的に対応することが重要である。強制労働の大部分は民間経済で行われているが、国家によって課されるものもある。本提案は、国際的に合意された定義や基準を基礎とし、国際的パートナーとの緊密な連携の重要性を強調している。EU加盟各国の機関には、調査に基づき、強制労働によって製造された製品をEU市場から排除する権限が与えられる。EUの税関当局は、EUの対外国境で強制労働によって製造された製品を特定し、その入域を停止させる。

<中略>

強制労働製品に関する措置の運用

EU加盟国当局は、強固かつリスクに応じた執行方法により、この排除措置を実施することになる。準備段階においてこれら当局は、リスクの特定を容易にし、作業の焦点を絞るのに役立つさまざまな情報源に基づき、強制労働のリスクを評価する。これらの情報源には、市民社会からの情報提供、特定の製品や地域に焦点を当てた強制労働リスクに関するデータベースの活用および企業が実施するデューディリジェンスなどが含まれ得る。

各国当局は、強制労働が行われたという十分に根拠のある疑いのある製品について調査を開始する。企業に情報提供を求め、EU域外国も含め調査・検査を行うことができる。強制労働が確認された場合、当局はすでに市場に出回っている製品の撤去を命じ、同製品の提供や輸出を禁止する。企業はその製品を処分することが求められる。EUの対外国境では、各加盟国の税関当局が取り締りを担当する。

例えば企業やEU域外の当局の協力が得られないなど、各国当局が必要な証拠を全て収集できない場合、当局は入手可能な事実に基づいて決定を下すことができる。

所轄当局は、この一連の手続きを通じて、リスクベースの評価と比例性の原則を適用しなければならない。この点に基づき、本提案は特に中小企業の置かれている状況を考慮している。これらの企業は本措置の適用を免除されないが、その具体的な設計の恩恵を受ける。すなわち、所轄当局は、正式な調査を開始する前に、関係する経済事業者の規模や資源、強制労働のリスクの大小を考慮する。中小企業を支援するツールも提供される。

欧州委員会はまた、この規則の発効から18カ月以内に指針を発表する。この指針には、強制労働デューデリジェンスに関するガイダンスや強制労働のリスク指標に関する情報が含まれる予定である。新たに設置される「EU強制労働製品ネットワーク」は、所轄当局と欧州委員会の間の体系的な調整と協力のためのプラットフォームとして機能する。

原文はこちらをご覧ください(英語)。

 

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