2020年12月10日の「人権デー」に寄せるEU上級代表の声明
<日本語仮訳>
12月10日の「人権デー」に寄せて、ジョセップ・ボレル欧州連合(EU)外務・安全保障政策上級代表兼欧州委員会副委員長は、EUを代表して以下の声明を発表した。
「12月10日、われわれは『人権デー』を祝う。1948年に世界人権宣言が署名されたことを記念するこの日は、注目に値する。本日、人権は普遍的で不可分であること、そして人権を守るための努力を決して止めてはならないことを思い起こすのは、かつてなく重要である。
新型コロナウイルス感染症のパンデミック(世界的大流行)により、人権、民主主義、法の支配に関するものなど世界の最も大きな課題は増幅され、悪化した。世界の多くの地域で、表現の自由に対する検閲や制限、差別、格差の拡大、女性や女児に対する暴力の増加、新型コロナウイルスへの対応には無関係なはずの恣意的な拘留など、われわれは憂慮すべき傾向を目の当たりにしている。しかし、一つだけはっきりしていることがある。それは、EUは、万人の人権の尊重、保護および実現に向けて取り組み続けるということ、そして、こうした基本的な価値は今後もEUのあらゆる行動の指針であり続けるということだ。誰も取り残されてはならないし、いかなる人権も無視されてはならない。
新型コロナウイルス感染症のパンデミックはまた、より強力な集団的行動への道を開いた。今日の変化する地政学的な状況の中で、EUは、人権を核とした多国間主義の最も強力な支持者であり続ける。
本日は、世界中で人権を推進するためにEUがこれまで取り組んできたことを振り返る機会でもある。今年は、いくつかの注目すべき達成があった。地球規模のパンデミックの中、EUは新たな『人権と民主主義に関するEU行動計画』を採択し、今後5年間の対外行動に関する野心的なロードマップを定めた。同行動計画は、われわれの人権と民主主義に関する取り組みを再活性化する契機となるものだ。そして、深刻な人権侵害・乱用に関与した者に対して、資産凍結や渡航禁止などの制裁を科す権限を与える『EUグローバル人権制裁制度』の確立は、人権に関する集団的な取り組みをさらに強化するもう一つの具体的な一歩である。今年1年を通じて、EUは、人権擁護のために活動する多国間機関の中で主導的な影響力を発揮してきた。国連の活動を支援するための地域を越えた連帯の構築は、最優先事項であった。ベラルーシに関する国連の活動を支援するわれわれの取り組みは、その重要な例である。人権のあらゆる分野において、EUは取り組みを新たにし、連帯を構築することに努めてきた。
現場では、EU代表部とEU加盟国の大使館が市民社会組織や人権擁護活動家を支援してきた。時には活動家を危険から救い、ロシアからコロンビア、香港に至るまで世界各地で裁判を傍聴した。女性・女児や弱い立場に置かれた人々の権利およびメディアの自由を促進し、市民社会を支援するプロジェクトに取り組んできた。EUとその加盟国は、女性と女児の人権の完全な享受、ジェンダー平等、女性と女児のエンパワーメントの推進に優先して取り組んでゆく。
しかし、やるべきことはいまだ多く残されている。2021年以降を見据え、EUはパートナーと共に取り組み、人権問題でリーダーシップを発揮し、ポスト・コロナの世界における人権保護の強化に取り組むことを約束する」
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