2025年「欧州および世界の死刑廃止デー」に寄せるEU上級代表と欧州評議会事務総長の共同声明
<日本語仮訳>
カヤ・カラス欧州連合(EU)外務・安全保障政策上級代表とアラン・ベルセ欧州評議会事務総長は、以下の共同声明を発表した。
「EUと欧州評議会は、いかなる場合においても、またいかなる状況においても、死刑に断固反対する立場を改めて強く表明する。
世界の3分の2以上の国々が、法律上もしくは事実上、死刑を廃止している。2024年には、ジンバブエによる死刑廃止、ならびにザンビアとコートジボワールによる『市民的及び政治的権利に関する国際規約」の第2選択議定書の批准を歓迎した。同年にはまた、モラトリアム(死刑執行の停止)を求める国連総会決議に対し、過去最多となる130カ国が賛成票を投じた。
死刑廃止を支持する世界的な潮流が高まっているにも関わらず、一部の国では依然として死刑が執行されている。2024年に最も多くの死刑執行を行った上位5カ国は、中国、イラン、サウジアラビア、イラクそしてイエメンであった。ベラルーシは欧州で唯一死刑制度を維持する国である。米国でも死刑執行が引き続き行われた。
われわれは、今なお死刑を執行し続ける少数の存置国に対し、完全廃止に向けた第一歩として法的モラトリアムを導入するよう求める。
死刑制度支持者はしばしば、その抑止効果を根拠とする。しかし、この点について研究は一貫して、死刑制度を有する国家よりも有さない国家の犯罪率が低いわけではないことを示している。死刑はまた、誤審の結果を不可逆的なものとし、いかなる更生や社会復帰も不可能にする。
欧州評議会とEUは、欧州を含む各地における死刑復活を主張する言説に対抗し続け、世界のあらゆる地域での完全廃止に向け、開かれた民主的な議論を促進していく。この観点から、2025年11月に日本で死刑に関する地域会合が、そして2026年にフランスで死刑廃止世界会議がそれぞれ開催されることを歓迎する。これらの会合は、極刑のない世界を求めるにあたり、市民社会が果たす重要な主導的役割を示すものである。
死刑は、その執行に至る過程を含め、非人道的または品位を傷つける処遇もしくは刑罰であり、人間の尊厳に対する究極の否定である。EUと欧州評議会は、その廃止を求める」
原文はこちらをご覧ください(英語)。